ステーブルコインは、仮想通貨の一種です。
でも、他の仮想通貨と違うのは、ビットコインみたいな価格の乱高下がないように設計されているところ。
おもに、米ドルなどの安定した資産と「連動」させてるから、価格が安定しているんです。
たとえば、1ドルと同じ価値を持つように設計されたりしてます。
ステーブルコインは価値が急に上がったり下がったりせず、「安定(stable)」しています。
ですので、普段の買い物や送金に使いやすいという特長があります。
今回は「ステーブルコインとは何か?」その仕組みやメリットを初心者にもわかりやすいように解説します。
ステーブルコインのメリット

ステーブルコインって、なにが便利なの?
イメージしやすいように、ステーブルコインのメリットを紹介しましょう!
- 価値が安定:普通の仮想通貨は、1日で価値が半分になったり2倍になったりするけど、ステーブルコインは1コイン=1ドルで安定してるから、安心して使える。
- 世界中で使える:インターネットがあれば、どこでも送ったり使ったりできる。国境を気にしなくていいんだ!
- 速くて安い:銀行やクレジットカードより、送金や支払いがスピーディーで手数料も安いことが多い。
- 新しい可能性:DeFiとかで、普通の銀行じゃできないお金の増やし方ができる!
価値が安定してるので、安心して使える
ビットコインとかの仮想通貨は、1日で値段がめっちゃ上がったり下がったりしますよね?
でも、ステーブルコインは値段がほぼ変わらないから、安心して使えます。
たとえば、1USDTはいつも1ドルくらいの価値で安定してます。
だから、送金したり、貯めたりするのに便利。
また、資産保全にも最適。市場が不安定なときも、価値をほぼそのまま維持できます。
仮想通貨トレードで「安全地帯」に避難できる
仮想通貨のトレードで「危ないな!」って思ったときに、ステーブルコインに変えておけば、価値が減る心配がないというのもメリット。
たとえば、ビットコインを100万円分持ってて、値段が下がりそうなら、ステーブルコイン(USDTやUSDC)に変えて、100万円分の価値をキープ!落ち着いたらまたビットコインに戻すみたいな感じです。
海外への送金が早くて安い
銀行でお金を海外に送ると、時間がかかるし、手数料も高い。
でも、ステーブルコインなら数秒~数分で送れて、手数料も数十円~数百円くらいで済むことが多いんです!
たとえば、アメリカにいる友達にお金を送りたいとき、ステーブルコイン(USDCとかRLUSD)をスマホのアプリで送ればすぐ届く。相手もそれをドルに変えられます。
DeFiで利息を稼いだり、お金を借りたりできる
DeFi(ディーファイ)は、銀行を介さずに、インターネット上でお金のやり取りをする方法のこと。
ステーブルコインをDeFiに預けると、銀行の貯金より高い利息がもらえることが多いんです!
また、お金を借りることもできちゃうんです。
たとえば、USDCをDeFiのアプリに預けて、年に5~10%の利息をもらう、みたいな感じ。
担保(預けるもの)があれば、ステーブルコインを借りて使うこともできますよ。
DeFi(ディファイ)は、Decentralized Finance(分散型金融)の略称。
銀行とか仲介者を通さずに、ブロックチェーンを使ってお金の貸し借りや取引をする仕組みです。
日常の支払いに使える(お店によっては)
ステーブルコインは、普通のお金みたいに、オンラインのお店やサービスで使えるところが増えてます。
現金やクレジットカードの代わりに、スマホで支払えちゃうんです!
たとえば、海外のゲームやアプリで課金したいとき、USDTやUSDCで支払える場合があります。
日本でも、仮想通貨対応のお店なら使えるかもしれません。
ステーブルコインの価格が安定している仕組み

ステーブルコインの特長は、価格が安定しているところ。
では、どうやって価格を安定させているのでしょうか?その仕組みは、おもに3種類の型があります。
法定通貨担保型
銀行にお金を預けて、その分だけステーブルコインを発行する仕組みです。
たとえばステーブルコイン会社は、1RLUSDを作るために、1ドルを銀行に預けます。100万RLUSDを作るためには、100万ドルを預けるのです。
これで「1RLUSD=1ドル」が保たれるというわけです。
暗号資産担保型
ビットコインやイーサリアムみたいな別の暗号資産を担保にする仕組みです。
価値が変動する暗号資産を多めに預けて、安定させようとしています。
アルゴリズム型
コンピューターのプログラム(アルゴリズム)がコインの量を調整して、値段を安定させる仕組み。
担保はいらないけど、ちょと複雑な仕組みです。
ただし、市場の信頼が得られず失敗してしまった例があります。この失敗以降、アルゴリズム型の採用は減少傾向です。
2022年に大失敗したアルゴリズム型ステーブルコイン。
USTはLUNAっていう別のコインと連動して価値を保とうとしましたが、投資家が不安になり、市場が混乱して価値がほぼゼロに。
多くの人がお金を失いました。
ステーブルコインのリスク

ステーブルコインは便利だけど、リスクもあります。
担保の信頼性に疑いが持たれる
ドル担保型は、発行元が本当にドルを持ってるか怪しい場合があります。
過去にUSDTは「担保が足りないのでは?」って疑われて、調査されたこともありました。
USDCのサークル社(Circle)などは、定期的に「お金はちゃんとありますよ!」って報告を出しています。
でも、100%クリアじゃない場合もあるのです。
アルゴリズムの失敗で暴落
TerraUSDみたいに、プログラムがうまく動かないとステーブルコインの価値が崩壊します。
アルゴリズム型ステーブルコイン(例:TerraUSD)は、コンピュータのプログラムで値段を安定させようとするんだけど、プログラムが失敗すると値段が下落します。
2022年にTerraUSD(UST)が大暴落しました。
このタイプは、ドルとかの裏付けなしで、需要と供給のバランスで価値を保つんですが、市場が急に動くと弱いのです。
USTは、LUNAっていう別の暗号資産とセットで動いていました。LUNAを燃やす(減らす)とUSTが増え、逆にUSTを燃やすとLUNAが増える仕組みで、1ドルに保とうとしてたわけです。
しかし、2022年5月、多くの投資家がUSTを一気に売ってしまいました。これでUSTの値段が1ドル以下にズレてしまったんです。
USTを1ドルに戻そうと、プログラムがLUNAをどんどん発行。でも、LUNAの価値も下がりまくって、どっちも価値が落ちる負のスパイラルにハマってしまったのです。
結果、数日でUSTは1ドルから数セントまで暴落。
投資してた人は大損になり、市場全体も大混乱しました!
規制のリスク
国が「ステーブルコインはルールを守れ!」と厳しくすると、使えなくなるコインも出てきます。
たとえば、BUSD(Binance USD)は2023年に国のルールのせいで作れなくなってしまいました。
特にアメリカでは、SECやCFTCという機関が、ステーブルコインを「証券」や「商品」として厳しくチェックしようとしてるのです。
詐欺やハッキング
暗号資産の世界は、もちろんハッカーに狙われています。
ウォレットや取引所がハッキングされると、ステーブルコインも盗まれる可能性があります。
2021年にはPoly Networkってところがハッキングされて、USDTやUSDCがたくさんのお金が盗まれました(後で一部返ってきた)。
市場の混乱に巻き込まれる
大きな経済の変化(たとえば、銀行の破綻)で、ステーブルコインの価格が保てなくなる場合もあります。
経済が大混乱したり、銀行が潰れたりすると、ステーブルコインの裏にあるお金(ドルとか債券)が危なくなることもあります。
2023年にシリコンバレー銀行が潰れたとき、USDCの値段が一時的に1ドルより下がったことがありました(これを「デペッグ」と言います)。
デペッグは、ステーブルコインの値段が「本来の価値」からズレてしまうこと。
ステーブルコインは普通、1ドル=1コインみたいに、特定の価値(例えばドル)にピッタリくっついてる(これを「ペッグ」って言います)。
でも、何か問題が起こると、この均衡が破れて、値段が1ドルより高くなったり低くなったりしてしまうんです。
色々なステーブルコイン

ステーブルコインにはいろんな種類があります。
代表的なものを紹介しますね。
USDT(テザー)
一番有名なステーブルコイン。Tether(テザー)っていう会社が管理。
ドルに連動して世界中で取引や送金に使われてます。
どんなコイン?
USDTはステーブルコインの中で一番有名で、使われている量もすごく多いです!
1USDTの価値は、基本的に1米ドルに固定されています。
発行したUSDTの量と同じくらいのドルや資産を、テザー社が銀行に持ってる(はず)。
これで価値が安定してるのです。
使い方
仮想通貨の取引所で、ビットコインやイーサリアムを買うときによく使われています。
送金も早くて手数料が安いから、海外送金にも便利。
海外の友達にお金を送りたいとき、日本円をUSDTに変えれば、銀行より早く安く送れます。
注意点
USDTは、過去に「本当にドルをちゃんと持ってるの?」って疑われたことがあり、透明性について議論されたこともあります。
でも、世界中でめっちゃ使われています!
USDC
Circle(サークル)っていう会社が管理。ドル担保で、透明性が高いと評判のステーブルコイン。
どんなコイン?
USDCは、サークル(Circle)っていう会社が発行してるステーブルコインです。
USDTと同じく、1USDC=1米ドルに連動しています。
サークル社は、持ってるドルや資産の証明を定期的に公開してるから、信頼性が高いと言われています。
アメリカの規制にちゃんと従ってるから、安心感はあります。
使い方
仮想通貨の取引や、DeFi(分散型金融:銀行を介さない金融サービス)でよく使われます。
もしオンラインでドルで支払いたいけど、銀行口座を使いたくないときは、USDCで支払えるお店もあります。
USDCを預けて利息を得るみたいなサービスもあるので、興味がある方は調べてみましょう。
DAI
イーサリアムを担保にした分散型コインです。
MakerDAOというDAO(分散型自律組織)によって運営がされています。
会社が管理するんじゃなくて、ブロックチェーンのプログラムでみんなが管理する「分散型」だから、自由なステーブルコインです。
どんなコイン?
DAIはちょっと特殊なステーブルコインです。
USDTやUSDCみたいに会社が管理してるんじゃなくて、ブロックチェーン(イーサリアム)上で動いている分散型ステーブルコインなのです。
1DAI=1米ドルに連動しています。
銀行や会社が管理するんじゃなくて、スマートコントラクト(プログラム)で管理されてるので、中央でコントロールされてないんです。
誰でも、ブロックチェーン上でDAIを作ることが可能
誰でもイーサリアムのブロックチェーン上で、特定のルールに従ってDAIを作ることができます。
DAIを作るには、イーサリアム(ETH)などの仮想通貨を担保に入れる必要があります。
たとえば、1000ドルのETHを預けて、500ドル分のDAIを作れる、みたいな感じです。
使い方
中央の会社に頼らないから、検閲や制限がなく、自由度が高いです。DeFiでよく使われます。
銀行がなくても、DAIを使って世界中の人と取引したり、DeFiで資産を増やしたりできるのが魅力。
仕組みが少し難しいけど、ブロックチェーンに興味がある人には面白い!
RLUSD
リップル社の新ステーブルコインです。
ドルに連動し、XRP Ledgerで高速送金が可能。
どんなコイン?
RLUSDは、リップル社が新しく発行したステーブルコイン。1RLUSD=1米ドルに連動しています。
リップル社のブロックチェーン技術を使ってるから、送金がすごく速い!
国際送金とかに最適で、じわじわと利用が広がってます。
使い方
リップルは、銀行や金融機関と協力して送金システムを開発してる会社。
なので、RLUSDもビジネス向けに使われる可能性が高いです。
もし海外の銀行にドルを送りたいとき、RLUSDなら数秒で送れて、手数料も安い!

BUSD(過去の例)
バイナンスが発行してたステーブルコイン。規制の影響で2023年に終了。
どんなコイン?
BUSDは、バイナンス(世界最大級の仮想通貨取引所)が発行してたステーブルコインです。
1BUSD=1米ドルに連動しており、バイナンスのプラットフォームで使いやすいように設計されてました。
終了の理由
アメリカの規制機関(特にSECやNYDFSといった金融監督機関)が、BUSDの発行に問題があると判断。
BUSDを発行していたPaxosという会社に対して、「BUSDの管理方法が法律やルールに合っていない」と指摘したんです。
具体的には、BUSDの価値を裏付けるための担保(現金や安全な資産)が、ちゃんと管理されてなかったり、透明性が足りなかったりしたことが問題に。
この指摘を受けて、PaxosはBUSDの新規発行を停止せざるを得なくなりました。
ジーニアス法(ステーブルコインを管理するルール)

2025年7月18日、アメリカで初めて、ステーブルコインをちゃんと管理する法律ジーニアス法ができました。
これは、ステーブルコインを安全に使えるようにルールを決めたものです。
正式名称は「Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act」で、略してGENIUS(ジーニアス)法って呼ばれます。

ジーニアス法の目的は?
この法律は、ステーブルコインを安全で使いやすくして、アメリカの金融を強くするために作られました。
おもな目的は以下です。
- アメリカのドルを強くする:世界中でドルに連動するステーブルコインが使われれば、ドルがもっと重要になる
- イノベーションの促進:新しい技術(ブロックチェーン)を使って、速くて安い送金を広める
- 利用者の保護:詐欺や価値の暴落から守る
- 犯罪防止:不正なお金の流れを防ぐ
過去の失敗を教訓に作られた
ジーニアス法は、過去の失敗を教訓にして作られました。
TerraUSDというステーブルコインが大暴落してしまったのは、先ほど説明した通りです。
この法律は、他のステーブルコインが同じ失敗をしないように、ちゃんとしたお金の裏付けや監査を義務づけています。
どんなルールがあるの?
ジーニアス法はステーブルコインを安全で信頼できるものにするために、以下のようなルールを決めました。
発行できるのは許可された会社だけ
ステーブルコインを発行するにはこのルールに従って、国や州から許可を得る必要があります。
銀行や信頼できる会社(たとえばリップル社やサークル社みたいな)しか発行できません。

お金の裏付けをしっかりする
ステーブルコイン1枚につき、1ドル分の現金や安全な資産(たとえばアメリカの国債)を預けておくルールがあります。
RLUSDならば、これで「1ドル=1RLUSD」の価値をキープできるというわけです。
透明性を高める
毎月、預けたお金の量や種類を公開しないといけません。
監査(チェック)も必要で、ウソがないか専門家が確認することになります。
犯罪防止
マネーロンダリングやテロ資金を防ぐため、発行者は利用者の情報をチェックするルールがあります。
利用者を守る
ステーブルコインを持ってる人が、いつでもドルに交換できるように、発行者はスムーズに対応しないといけません。
まとめ
今回は「ステーブルコインとは何か?」その仕組みやメリットを初心者にもわかりやすいように解説しました。
ステーブルコインは、価格が安定した仮想通貨で、1コインがだいたい1ドルと同じ価値になるように作られてます。
USDTやUSDC、RLUSD、DAIとかがあって、ビットコインみたいに値段が大きく上下しないから、安心して使えます。
2025年には、ステーブルコインを安全にするための法律「ジーニアス法」が成立。
市民権を得たステーブルコインは、これから買い物や送金にどんどん使われるかもしれませんね!

日本でも、ステーブルコイン「JPYC」が承認されました。
金融庁は、フィンテック企業のJPYCが発行する日本円建てステーブルコイン「JPYC」を国内で初めて承認することが分かった。
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